エベレストの悲劇。「空へ-」ジョン・クラカワー
今年はエベレストでの死者が、栗城史多さんを含めて5名いたそうです。
エベレストに登るということはどういうことなのかな。
「空へ-」は、1996年におこった大量遭難を記したノンフィクションです。
読んでみて、その過酷さに息をのみました…!
1996年、エベレストで何が起こったか?
エベレストまさに今の5月ごろが比較的容易に登れる時期になります。
さらにアタック※1できるのは天気のいい日に限られるとなると、
その日に全世界からやってきた登山家が集中してしまう!
混雑して狭い登山道は順番待ちになり、そうこうしているうちに時間がたち、
日が暮れ、天気が悪くなり…。
ついに嵐が来て、5月10日だけで日本人女性1名を含む8名が亡くなりました。
それ以外の日程も含めると12人も死亡。
当時では史上最悪の遭難事故だったそうです。
※1アタック:最終キャンプ地から頂上を目指して行動すること
エベレストの環境と体調
エベレストというのは零下でとてつもなく寒い!
…というだけではなく、酸素が少なくて、体調は悪くなるし、
途中の山小屋での滞在では嘔吐物がそこら中にあって、臭いわ、不快だわ。
そんな強烈な環境だそうです。
頭痛い、とか、気持ち悪くて何も食べられない、とか、
かなり鍛えている人でもそうなるみたいで、つらい登山なんだなぁ…。
途中、クレバス※2やら氷壁※3やらがあって、いつ氷や石が落ちてきてもおかしくない。
そして頂上まで行けても、そんな高所にずっと滞在してられないんで、さっさと下山する。
また下山が大変…。
氷がつるっつるのところを降りて行かなきゃいけないのです。
さっきまで隣にいた人が、滑り落ちて消えてしまうことも…。
登りより下山のほうが危険というのはそういうことなんだな。
※2クレバス:氷河や雪渓の割れ目
※3氷壁:氷におおわれた岩壁
エベレスト登山の何が問題か?
昨今、エベレストでの商業登山※4が流行り、登る人が多すぎること、
シェルパやガイドが荷物持ちや案内してくれるので、それほど登山の能力が高くなくても登れてしまうことが問題だそう。
頂上まで行く道が混雑して順番待ちになり、そのうち気候が変わって大嵐になる。
ほかの隊でも遭難者や具合の悪い人が出れば、助けないわけにもいかないし、
また登山者の能力もバラバラでとにかくガイドの負担が大きい。
参加者は700万円近い金額を払ってるから、
時間制限されても目の前に頂上があれば登りたいと思う。
ガイドも登らせてあげたいと思う。
結果、下山の時間を守らず、嵐に巻き込まれる…!
有能なガイドですら死んでしまい、
ガイド頼みだった顧客登山者も力尽きてしまいました。
※4:商業登山:ガイドが商業目的で登山者を募り組織した登山ツアー
結論
引き返す勇気が大事!
それにしても、エベレストって、山を愛する人には魅力的なんだなぁ。
私は恐ろしくて登ろうと思わないけど、
魅力に取りつかれるのはなんとなくわかるような。
それにしても、ここまで詳細に描いたジョンクラカワーの取材力に脱帽です。
エベレストについて知りたい人はぜひ読んでくださいね。
映画化もされたよ!
本のほうがよりおすすめではあるけど、
映画は映画で映像で見る迫力があって、それなりにいいですよ。
ま、ぼちぼちいきましょ!