エベレスト初登頂の謎と天才登山家の運命…「神々の山嶺」 夢枕獏
「そこに山があるからだ」で有名な登山家マロニー※1は、世界で初めてエベレストに登頂したのか?
山岳史上最大の謎を追う中で、羽生※2という消息不明の登山家に行きつく。
羽生に付随していろんなドラマが生まれ出る。
もう、中身が濃くて充実していて、終始興奮しながら読みました!
おかげで寝不足の日々です。
※1マロニー:イギリスの登山家。世界初のエベレスト登頂を目指したが、1924年、頂上付近で遭難した。
※2羽生:森田勝という登山家をモデルにしたといわれる。冬山の岩壁の天才。
これが登山…?
この物語は、冬山が舞台なのだけれど、
「山登り」というよりは「垂直な氷の崖を登る」と言ったほうが近いかも。
しかも、エベレストとなると、高度8000m、-30℃で、強い風がふく中を登っていく。
上からは石が落ちてくるわ、吹雪で周りが見えないわ、おそろしー!
生きて帰れるわけがない。そんな状況。
エベレストにもいくつかのルートがあるけれども、
「世界で初めて」でないと意味がないという考えの羽生は、
だれも踏んだことのない難易度の高いルートから山頂を目指す。
山登り、好き好き、楽しい~って雰囲気ゼロ、
もう、「親のかたき!」くらいの執念で登るのです。
もう、この羽生って男はしんどい~
羽生とマロニー
羽生(のモデルの森田勝)は1937年生まれ、
マロニーは1924年にエベレストで消息不明となる(のちに遺体が発見される)。
登山家として活動した時期は全くかぶっていない。
登山写真家の深町という人が、マロニーが最後に使ったと思われるカメラを発見して、
そこから消息不明となっている羽生にたどり着くわけだけど、
なぜ、マロニーのカメラと羽生に関係があるのか?
羽生はなぜ消息不明となったのか?
マロニーはエベレストに登頂していたのか?
羽生もエベレストに登頂できたのか?
ちょっとずつ謎が解明されたりされなかったり!
ページをめくる手がとまらないー!
作者の手ごたえは?
最後のあとがきに夢枕獏は書いている。
書き残したことはありません。力が及ばなかったところもありません。
ただただとてつもなく力強いパワフルな小説を今自分が書いているのだという自覚があるだけです。
というような内容だ。
まったくそのとおり。こんな完璧な小説があるんだね。
この興奮が冷めたら、またゆっくり読み返したい。
コミック化、映画化もされたよ!
あまりの名作ぶりに、コミック化と映画化もされました。
コミックはおすすめ!
山岳用語にまだ慣れない私は、このコミックを読んで絵で見ることにより、より山について知ることができました。
また結構原作に忠実。
マロニーの謎の解明についてだけは、小説とコミックで異なっていたけど、これはこれでOK!
映画は…。んんーー。
この長編を2時間で納めるということが無理だったのかな。。
いろいろ飛ばしすぎて、映画だけでは意味わからなかったかも。
原作のよさが全然出てなくて残念でした。
出演者もよかったんだけどね。。
ま、ぼちぼちいきましょ!