間違いなく名作です。
実在した単独行※1登山家の加藤文太郎の物語。
（おそらく）美化されずに書かれています。
山好きならぜひ読んでおきたいですね！
※単独行：一人で登山すること。
この加藤文太郎という人物、まぁ愛想悪くて、不器用な男なんです。
なぜここでこうする？？と突っ込みたくなったり、
あるいはその不器用さに共感できたり。
強靭な脚力と体力の持ち主で、すごい速さで単独行の雪山登山を次々成し遂げる。
それにしてもなぜそこまで大変な雪山登山を続けるのか？正直わかりませんでした。。
また吹雪の中のビバーク※2を平気でこなしてしまうその体力。
もう、ありえないとしかいえません。
※2 ビバーク：登山中、緊急避難的に野外で一夜を過ごすこと。野宿。
文太郎はサラリーマンで、有給休暇を取って登山しているところなんかは、親近感持てるかも！
また、仕事でも、合う上司合わない上司がいて、異例の出世をしたり、嫌がらせを受けたり。
その辺の生活も興味深かったです。
私も勤め人で、なおかつ子持ちのため、そうそう好き勝手に登っていられない。
登るためには、仕事の調整をつけ、子どもに負担なくできる計画を考え…
まー、年数回の連休にしか登山できません。
結婚！優しいマイホームパパに変身！…かと思いきや…
そんな文太郎も、花子さんと結婚！
結婚式の時間を過ぎてもあいかわらず山登ってるところも文太郎らしい。
いやいや、ひげをそるとか、髪の毛整えるとか、気持ちを落ち着かせるとかして過ごさないの？？
娘の登志子にも恵まれ、親しみやすい文太郎に変わります。
仕事命だった文太郎。
それが、花子さんと娘の登志子に会いたくて仕事をさっさと切り上げて帰るように変化します。
花子さんをいたわり、登志子を抱っこする、すてきイクメン！
そんな家族第一になってから、山は遠ざかっていました。
家族を持ってからの登山はどうするんだろう？
登志子が大きくなってから一緒にファミリー登山するのかな？
時々は時間をもらってハードな単独登山もするんだろう。
そしてゆくゆくは夢のエベレスト※3へ…！
そんな想像は打ち砕かれました。
ええ。アホですよ。文太郎は！！
このまま素敵パパのままでいてほしかったのに！
はらたつ！
もう、心揺さぶられっぱなし。
是非読んで結末を知ってほしいです。
※3：エベレスト：8,850m、世界一高い山！ネパールと中国の境目にある。
なんだかんだと愛される文太郎
いつまでも終わらないでほしい、この人の登山と生活をずっと見続けたいと、気が付けば文太郎ファンになっていました。
強靭な脚力を持っているだけじゃない、人間らしい弱さをもつ文太郎。
だから山に登り、人に愛されるんだろうな。
「孤高の人」を読んだら、「単独行者（アラインゲンガー）谷甲州・著」も読んでみてね！
「孤高の人」が文太郎の人生そのものとすると、「単独行者（アラインゲンガー）」は文太郎の登山に特化した小説となってますよ。
ま、ぼちぼちいきましょ！
